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学部長挨拶

        新しい人文社会系学部での教育の展開


−人文社会科学部新設、大学院研究科名称変更・社会人コース設置にあたって−



人文社会科学部長・人文社会科学研究科長 佐川泰弘


2017年4月、新学部スタート


 今年は茨城大学人文学部設置50周年の節目に当たりますが、当学部はその記念すべき年に改組を行い「人文社会科学部」を設置し、4月に新入生を迎えました。
 国立大学人文社会系への文部科学省からの、ここ数年の風当たりは相当強かったものの、改めて文系総合学部の存在意義を確認するとともに、人材育成を強く意識した新学部の編成とカリキュラム構築を行い、設置認可に至りました。学生定員を減らさざるを得なかったことは残念ではありますが、決して茨城大学が文系を軽視するわけではありません。地方国立大学としては比較的大きな人文社会系学部としての存在は改組後も変わりません。

人文社会科学部がめざす教育


人文学部長 佐川 泰弘  改革を考えるに当たって、卒業後の就職先である企業等が本学学生をどう見ているか、また高校生が何を求めているのかを調査しました。
 企業等からは、「最近の茨大生は真面目でよく勉強している。しかし、積極的に前に出るという点で東京の私大出身者と比べおとなしい」という声が寄せられました。確かに近年の学生諸君は、授業への出席状況もよく学習面での能力も高いのですが、社会との接点がアルバイトなどに限られています。世の大人たちが現実に何を目指して行動し、どういう課題を抱えて悩んでいるのかを共有し、一緒に行動してみるという経験はなかなか得られません。また、教員が一方的に話すタイプの講義を教室で受けるだけでは積極性やコミュニケーション力は得られません。
 そこで、これまでどおり人文科学や社会科学の学問的な知見、ものの見方・考え方・方法論を学びつつ、「地域」が抱える問題が、政治経済や文化のナショナル及びグローバルな動きと直接・間接に繋がっているという認識を持ち、少子高齢化で人口が急激に減少する可能性がある地域で、職業人及び市民として、そこにあるさまざまな組織が抱える時々の課題を見出し、企業や地域の持続的発展に必要な専門調査能力や企画力を身に付け、今後の地域経営、新たな地方創生事業、企業のマネジメントに携われる人材を養成するという理念を掲げ、改組を実施しました。
 また、大学進学をめざす現役高校生が本学の人文系(文学、哲学、歴史学、心理学)に高い関心を寄せていることもわかりました。これらの分野を専門的に学べる課程をきちんと存続させるため、いろいろと工夫してきました。
 変化が激しい時代と言われ、政治的リーダーや経営者、行政や企業も模索を続けている今、これまでの取組を相対化できる力、「人々にとって何が幸せか」を根本から考え、新しい発想を提示し、他の人々と行動できる力を身に付ける。そのために古今東西の人々の考え方や営みを学び、現場に出て老若男女様々な人々と自由に話すトレーニングを通じて自らの価値観を築いていく。大学の授業をそのように転換し、アクティブな人材を育てていきます。

3学科、メジャー・サブメジャー制に


 学部組織について、具体的には、以下のような改編を行いました。
 第一に、主に何を学べるのかが明確に伝わるように学科を3つにしました。地域や国際的なフィールドで調査し、様々なメディアを使って発信する力を身につける「現代社会学科」、法学や経済学の観点から生活者や企業をどうしていくかを考える「法律経済学科」、古今東西の人間の営みを知り新しい社会の発想を考える「人間文化学科」の3つです。
 第二に、メジャー(主専攻)とサブメジャー(副専攻)を必ず全員が履修するカリキュラムとなります。現代社会学科では「メディア文化」と「国際・地域共創」、法律経済学科では「法学」と「経済学・経営学」、人間文化学科では「文芸・思想」、「歴史・考古学」、「心理・人間科学」のメジャーから1つを選択し主専攻として学びます。これらメジャーの専門の学びでも、教室から外へ、現場へという方向性を強化します。
 加えて、全員が主専攻以外からサブメジャー・プログラムを1つ以上選択履修します。ここには、上記学問分野だけでなく、英語力を大幅に向上させる「グローバル英語」、地域課題に取り組んでみる「地域志向教育」、外国人に日本語を教える能力を築く「日本語教育」、公務員としての素養を築く「行政マネジメント研究」のプログラムも含まれます。狭い専門性だけでなく、サブメジャーでプラスアルファの視野や実践力を身につけた、ひと味違った学生を社会に送り出したいと思っています。
 大学進学をめざす高校生の皆さん、地方国立大学で学ぶメリットを知って下さい。他にはない茨城大学人文社会科学部でこそ学べることが、たくさんあります。オープンキャンパスや説明会で、何でも聞いて下さい。みなさんの入学をお待ちしております。

大学院に社会人再教育のコースも設置


 大学院人文科学研究科も、「人文社会科学研究科」へと同時に名称変更しました。社会科学専攻には現職地方公務員、地方議員を対象とする「地域政策研究(社会人)コース」を開設し、本年度5名の県内自治体職員を迎えています。地方創生が謳われる中、茨城県および各市町村の独自性を発揮した政策をいかに実施していくかが問われています。地域の現場に入り、行政職員以外の方々との人間関係も作り、「そこに合った」政策を作っていくノウハウを身につけていただくことを考え、これまでにないフィールドワーク型の授業も実施します。
 この社会人コースに限らず、大学院進学をお考えの皆さん、説明会も頻繁に開催しておりますので、ぜひ足をお運び下さい。